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独禁法よもやま話 第13回です。

第13回 「フランチャイズ・システムと独占禁止法」

キョウ子さん

 コンビニエンスストアの本部と加盟者のトラブルがニュースになることがありますね。

どっきん先生

(ガイドライン改正の経緯)
 コンビニエンスストアだけでなく、フランチャイズ・システムについては、加盟者募集時の本部の説明内容や契約締結後の本部と加盟者との取引などを巡って、様々な問題が生じており、独占禁止法上の問題が指摘されることも少なくないため、公正取引委員会は、平成14年に「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」を公表し、本部のどのような行為が独占禁止法上問題となるかを具体的に明らかにしています。
 ところが、昨今、コンビニエンスストアについて、24時間営業をはじめとして、本部と加盟者との在り方を見直すような動きが生じていたことなどから、公正取引委員会は、コンビニエンスストアの本部と加盟者との取引等について、大手コンビニエンスストア(本部8社)チェーンの全ての加盟者を対象とした大規模実態調査を行い、令和2年9月にその調査報告書を公表しました。この調査の結果、コンビニエンスストアの本部と加盟者との取引について、今なお多くの取り組むべき課題があることが明らかとなったとして、今回、コンビニエンスストアの本部と加盟者との取引を念頭においてガイドラインの改正(令和3年4月28日)が行われたのです。
キョウ子さん
 令和2年9月に公表された実態調査では、具体的にどのような行為が問題行為として明らかになったのですか。

どっきん先生

(問題とされた本部の行為)
実態調査で明らかになった本部の問題行為としては、以下のようなものがありました。
  1. 本部が募集時に行う予想売上げ、予想収益の説明が実際の状況と異なり、説明が不十分である。
  2. 本部の指導員が加盟者に無断で発注を行っている。
  3. 年中無休・24時間営業について、深夜帯の採算性の悪さや深刻な人手不足について本部が募集時の説明で情報を開示しなかったり、加盟者からの時短営業の協議に応じていない。
  4. 加盟者の店舗周辺地域に本部や同一チェーンの加盟者が行う追加出店(ドミナント出店)について、本部は「配慮」するとしていながら、その「配慮」の内容が不明確であったり、出店しないという口頭での取決めを反故にしている。
  5. 見切り販売の手続が煩雑である。
 実態調査で明らかになったこのような本部の問題行為を踏まえ、今回のガイドラインの改正となったのです。
キョウ子さん
 コンビニなどは、私たち消費者にとって生活上大変便利な存在になっているのですが、全ての加盟者ではないにしても、加盟者は本部との取引で、いろいろな問題があるのですね。実態調査を踏まえ、フランチャイズ・ガイドラインのどこが改正されたのですか。

どっきん先生

(改正のポイント 募集時の説明、仕入数量の強制、年中無休・24時間営業、ドミナント出店、見切り販売の制限)
 フランチャイズ・システムの場合、加盟希望者がチェーンに加盟するかどうかの判断において、何よりも本部からの正確な情報が前提となります。ところが、本部の予想売上げ等の重要事項の説明が不十分で、加盟希望者に実際のフランチャイズ・システムの内容よりも著しく優良又は有利であると誤認させ、加盟者として誘引する場合には、独占禁止法の不公正な取引方法の行為類型の1つである「ぎまん的顧客誘引」の観点から問題となります。
 また、取引上の地位が加盟者に対して優越している本部が、加盟者の利益を不当に損なう場合には、「優越的地位の濫用」の観点から問題となります。
 このため、実態調査の結果を踏まえ、ガイドラインに、
  1. 募集時にモデル収益などを提示する場合は、加盟希望者が出店を予定している店舗の厳密な意味での予想売上げ等ではないことを十分理解されるように対応すること。
  2. 実際の販売に必要な範囲を超えて、本部が仕入数量を指示したり、加盟者の意思に反して加盟者になり代わって加盟者名で仕入発注を行うことにより、その数量を仕入れさせることは違反となり得ること。
  3. 募集時に営業時間や臨時休業について説明をするに当たり、特定の時間帯の人手不足、人件費高騰等その時点で明らかになっている経営に悪影響を与える情報の提示が望ましいこと。また、本部と加盟者の合意があれば営業時間の短縮が認められるとしているにもかかわらず、本部が時短営業の短縮を希望する加盟者に対し、正当な理由なく協議を一方的に拒絶し、従前の営業時間を受け入れさせることは違反となり得ること。
  4. ドミナント出店を行わないとの事前の取決めがあるにもかかわらず、ドミナント出店が加盟者の損益の悪化を招く場合において、その取決めに反して出店を行うこと。また、ドミナント出店を行う場合には、損益の悪化を招くときなど加盟者に支援等を行うとの事前の取決めがあるにもかかわらず、一切の支援等を行わないことは違反となり得ること。
  5. 見切り販売について、柔軟な売価変更が可能な仕組みを構築するとともに、加盟者が実際に見切り販売を行うことができるよう、見切り販売を行うための手続を十分説明することが望ましいこと。
 などの記載を付け加えるといった改正が行われました。
キョウ子さん
 コンビニの加盟者が消費者に販売する価格は、フランチャイズ・チェーンである以上、本部が統一的なものにして、指示しても構わないのですか?

どっきん先生

(加盟者の販売価格の関与)
 ガイドラインでは、加盟者の販売価格について、本部が、「統一的営業・消費者の選択基準の明示の観点から、必要に応じて希望価格の提示は許容される」としています。しかし、加盟者が地域市場の実情に応じて販売価格を設定しなければならない場合や売れ残り商品等について値下げして販売しなければならない場合などもあることから、本部が加盟者の販売価格を拘束することは、原則として再販売価格の拘束、あるいは拘束条件付取引として問題となるとしており、これについては、「地域市場の状況、本部の販売価格への関与の状況等を総合勘案して判断される」としています。ということで、どのような場合でも本部が加盟者の販売価格を拘束できるとの立場はとっていません。
キョウ子さん
 今回のガイドラインの改正により、本部と加盟者との取引関係がより望ましいものに改善されるとよいですね。

どっきん先生

(本部と加盟者との十分な協議の必要性)
 いずれにせよ、本部と加盟者との取引は、契約開始時点だけでなく契約期間中も、加盟者に一方的に不利益な内容にならないよう本部と加盟者が十分協議することが必要です。既に、コンビニエンスストアの各チェーンの本部では、公正取引委員会の調査結果を踏まえ、それぞれ、自主点検を実施し改善の措置を講じているところです。

<実態調査結果及び各社の対応>
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/sep/200902_1.html

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