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独禁法よもやま話 第16回です。

第16回 「公正取引委員会の実態調査」

キョウ子さん

 公正取引委員会が実態調査を始めたとの報道を時々見かけますが,実態調査とはどのようなものですか。

どっきん先生

 公正取引委員会が行う実態調査は,特定の事業分野などに焦点を当てて,取引の実態や競争の状況を明らかにし,その中で判明した問題点やそれに対する独占禁止法上又は競争政策上の考え方を示すものです。令和3年では,デジタル広告分野や携帯電話市場に関する実態調査の結果を公表していますし,令和2年には,スタートアップの取引慣行やコンビニエンスストア本部と加盟店との取引,共通ポイントサービス,フィンテックを活用した金融サービス,飲食店ポータルサイトなどを取り上げています。
キョウ子さん
 さまざまな分野で実態調査が行われているのですね。今はどのような実態調査が行われているのですか。

どっきん先生

 クレジットカード分野やクラウドサービス分野,行政機関による情報システム調達,IPOにおける公開価格の設定プロセスについての調査などが行われています。
キョウ子さん
 実態調査と独占禁止法違反事件の調査とは違うのですか。

どっきん先生

 調査という言葉だけ聞くと同じように聞こえるかもしれませんが,性格はまったく異なります。独占禁止法違反事件の調査は,事業者又は事業者団体の具体的な行為が独占禁止法に違反するかどうかを調査し,違反が認められた場合には排除措置命令などを課すもので,一般的には審査と呼ばれます。審査は,審査局が担当します。
 一方で,実態調査は,あくまで当該事業分野における取引の実態や競争の状況を明らかにしようとするもので,違反事件の審査を行うものではありません。実態調査を担当する部署も審査局以外の経済取引局や取引部などとなっています。
キョウ子さん
 なるほど。全然違うのですね。

どっきん先生

 海外の競争当局でも実態調査を行うことがありますが,英語では,surveyやstudyと言ったりしていて,審査の場合にはinvestigation という用語を用いるので,あまり間違えることはないと思います。
キョウ子さん
 実態調査を行う目的は何ですか。

どっきん先生

 特定の事業分野の取引や競争の状況を明らかにし,当該分野における独占禁止法違反行為の未然防止や関係者による公正かつ自由な競争環境の確保に向けた取組を促進することです。
 事業者の方からみても,これまであまり競争上の観点からクローズアップされなかった分野では,自社が関係する事業分野で具体的にどのような行為が独占禁止法上問題となるのかが明らかになれば,違反を行わないように気を付けることができます。言わば,ガイドラインのような位置づけにもなります。また、実態調査の結果を受けて、事業者がこれまでの取引慣行等を見直す契機ともなります。
キョウ子さん
 どのような分野について実態調査をするのですか。

どっきん先生

 これまでの実態調査を見ると,例えば,デジタル分野など技術革新が進んでいる分野や,これまであまり実態が把握されていなかった分野,社会的な関心が高い分野などが取り上げられているようです。
キョウ子さん
 調査はどのようにして行われるのですか。また,どれくらいの時間がかかるのですか。

どっきん先生

 当該事業分野の関係事業者に幅広くアンケートを行ったり,関係事業者のほか学識経験者からもヒアリングを行ったりしているようです。調査期間は,実態調査の対象となる分野の規模などにより異なるようですが,これまでの実態調査を見ると,半年程度から長いものは1年を超えるものもあるようです。

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